人間関係は、自分との関係からはじまる
- 6 日前
- 読了時間: 5分
自分が自分の一番の味方になるまで
患者さんとの関係。
ご家族との関係。
医師や同僚、後輩、上司との関係。
看護の現場では、毎日たくさんの人と関わります。
だからこそ、看護学生の頃から、人とのコミュニケーションや他者を理解することを学ぶ機会はたくさんあります。
けれど、わたしが今いちばん大切にしているのは、その少し前にあるものです。
それは、
自分との関係。
人間関係は、自分との関係から始まる。
わたし自身の経験を通して、そう感じています。
周りの人を大切にしようと、頑張り続けていた頃
わたしは長年、看護師として
がん看護に携わり、
300人近くの方の看取りを
経験してきました。
患者さんやご家族から、
「あなたが担当でよかった」
「ありがとう」
そう言っていただけることが、
わたしのやりがいであり、
心の支えでもありました。
目の前の人に喜んでもらいたい。
少しでも力になりたい。
安心してもらいたい。
その想いで、いつも一生懸命でした。
けれど、忙しさが続き、
心に余裕がなくなってくると、
少しずつ何かが変わっていきました。
誰かのために頑張っているつもりが、
いつの間にか、
「ありがとうと言ってほしい」
「頑張っていることを認めてほしい」
そんな思いが大きくなっていたのです。
頑張っても認めてもらえない。
こんなに周りのことを考えているのに、
わかってもらえない。
いつしか周りが敵のように思えて、
傷つかないように、
たくさんの鎧を
身につけるようになりました。
関係がうまくいかないと、
自分を責める。
それでも苦しくなると、
今度は周りのせいにする。
そんなことを繰り返していました。
自分の一番近くにいた人
ある時、
同僚や後輩が
次々とメンタルヘルスの不調で
現場を離れていきました。
そして、気づいたのです。
わたしも紙一重だった。
わたしも、ぎりぎりだった。
目の前の人に
一生懸命看護をすればするほど、
自分自身がすり減っていく。
そんな状態では、誰一人幸せではない。
その頃から、
心理学やコーチング、
心と脳の仕組みを学び始めました。
問いを通して
自分と対話することを重ねる中で、
ある時、大きな気づきがありました。
「ああ、わたしは自分との関係が最悪だったんだ」
周りは敵だらけだと思っていたけれど、
いちばん近くにいる自分のことを
わたし自身が責め、
否定し、追い立てていました。
頑張っても、まだ足りない。
うまくできても、もっとできるはず。
失敗したら、
どうしてこんなこともできないの。
自分に向ける言葉は、とても厳しいものばかりでした。
そのことに気づいた瞬間、
「ごめんね」
という言葉とともに、涙があふれました。
わたしはずっと、
自分を敵のように扱っていた。
けれど、自分は一度もわたしから離れず、
どんな時もそばにいてくれていたのです。
鏡の中の自分を喜ばせる
わたしは以前から、
「目の前の人を喜ばせるために、何ができるだろう」
という問いを大切にしてきました。
けれど、ある時気づきました。
わたしの一番目の前にいる人は、
鏡の中に映る「わたし」なのだと。
鏡の中のわたしを喜ばせるために、
何ができるだろう。
わたしは、わたしを幸せにする。
わたしは、わたしを大切にする。
そう決めてから、少しずつ自分との関係を育て直していきました。
まず始めたのは、自分を知ることです。
どんなことが好き?
どんな場所が心地いい?
どんなふうに接してもらえたら嬉しい?
本当は、どうしたい?
今、どんな気持ち?
自分に問いかけ、自分の答えを聴く。
すると、今まで気づかなかった小さな声が、少しずつ聞こえるようになりました。
「気づいてくれて、ありがとう」
そんな声が、心の奥から聞こえてくるような気がしました。
自分へのやさしさは、周りへ循環していく
自分との対話を重ねるうちに、
少しずつ自分との信頼関係が
築かれていきました。
うまくいかなかった日も。
悲しい日も。
イライラしてしまった日も。
「そんな日もあるよ」
「今日もよく頑張ったね」
「大丈夫だよ」
そう声をかけられるようになりました。
いつしか、
自分が自分の一番のファンであり、
どんな時も離れない一番の味方なのだと
感じられるようになりました。
すると、敵だらけだと思っていた世界が、
少しずつやさしい世界に
変わっていったのです。
自分を大切にすることは、
自分だけを優先することではありません。
自分にやさしくできるようになると、
心に少し余白が生まれます。
その余白があるからこそ、
目の前の人の話を聴くことができる。
相手の違いを受け止めることができる。
本当の意味で、
相手を大切にできるようになる。
自分へのやさしさは、
自分の中だけで終わらず、
周りの人へと循環していくのだと思います。
まずは、小さなやりとりから
自分との関係を育てるために、
大きなことを始める必要はありません。
疲れていることに気づいたら、
胸に手を当ててみる。
ふうっと息を吐いて、
ゆっくり吸ってみる。
そして、自分に伝えてみる。
「頑張っているの、知っているよ」
「ありがとう」
「大丈夫だよ」
ほんの数秒の、小さな自分とのやりとり。
その積み重ねが、
自分との信頼関係を育てていきます。
目の前の人に安心できる場を届けたいなら、まずは自分自身に、
安心できる場所をつくってあげる。
人間関係のその前に、
自分との関係を育てていく。
それが、自分も相手も大切にできる、
本当にやさしい関係の始まりだと、
わたしは感じています。
今日、あなたはあなた自身に、どんな言葉をかけてあげたいですか?


コメント